序章─屋上の災厄─

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首筋のベタついた汗を、生暖かい風が撫でていく。 午後6時とはいえ、学校の屋上から見る空は仄かに明るい。 気になり始めた幼馴染みを、同じく幼馴染みの親友に奪われた俺、大神秋奈(オオカミ アキナ)16歳は、飛び出した屋上の暑さに顔をしかめていた。 フェンスに手をかけ風を待つも、気持ちの悪いぬるい風しか来ない。 はぁ、と溜め息をつき、身体を回しフェンスに背中を預ける。 うっすらと見える残月が、妙に虚しかった。 「……正直きついな」 告白するのを怖がっていたのは認める。 ただ、3人でいるのが楽しくて、その関係を壊したく無かった。 けれど、これも言い訳にすぎないのは解っている。
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