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「最近変わったな、お前」
社員食堂でコーヒーを啜りながら松原は、向かいに座って昼食を取っている親友、天川に言った。
「……そうか?」
変わったと言われても、涼子に言われて外見を変えただけで、それ以外特に全く思いつかないのだ。
特に思い当たる節もないので、その一言だけ言うと、天川は定食の味噌汁をズズッと飲む。
「ったく、お前のマイペースっぷりも相変わらずだな。で?どうなんだ?」
「何が?」
「雨宮さんと上手くいってんのかって聞いてんだよ」
「あぁ…」
なんだ、その事か。なんて考えながら、箸で掴んでいたたくあんをパリパリかじる。
「上手くもなにも、それ以前に付き合ってねぇし」
「嘘!?マジで?あんだけ仲良くなったのに?」
「今は仲良くなれただけで十分だ。最終的には結婚話まで持ち込む予定だから、今のうちに祝儀の準備しとけよ、悠太」
「え、ちょっと気が早くない?」
自信満々にいう親友に苦笑しながらつっこむ。
「予定は未定だ。ま、今は未定でも近い将来確定にさせるがな。…とりあえず、今は邪魔な輩を排除するのが先だ」
「あー…まぁ、敵が多いから大変だろうな」
隠れマスコット的な存在の彼女の、あんな愛嬌のある笑顔されちゃ恋心を持っても仕方ないだろう。
自分自身は別の人が好きなので、親友と恋愛の敵対をする事はないが、社内だけでなく中には外来で来ている人もいるので、本当に大変な人を好きになってしまったんだなぁと、つくづく思った。
「とりあえず社内の人間はオーラで何人か排除しといてやった」
そういうと、箸をトレーにカチャンと置き、「ごちそうさま」と言い昼食を終えた。
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