アンチクロロベンゼン

01

お母さんは青ざめた顔で、空を見つめていた。

「お母さん！お母さんっ！」

あたしが何度も何度もお母さんを呼ぶと、お母さんは苦しそうにあたしを見た。

「お母さんっ！死んじゃ嫌だ！お母さんっ！」

お母さんの片目には、頭から流れる大量の血が覆っていた。

「…っ…あ…。」

お母さんは必死に、あたしに何かを伝えようとしていた。