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少しいじけた雰囲気を醸し出していると、頭をごつかれてしまった。
「馬ぁ鹿、何いじけてんだよ。これから頑張れば良いだろ?」
整った眉を少し下げ、キリリとした眼の副長は、どうして新撰組なんかに入ったのだろうか…
役者になれば良かったのに。
そうすれば、鬼だなんて呼ばれる事も無い。
「ってお前、聞いてんのかよ」
「き、聞いてました…」
自分の世界に入っていた私は、曖昧な返事を返して続けた。
「副長って、たまに優しいですよね」
「なっ!…別にッ」
あたふたする今日の副長は可愛い。
「ありがとうございます」
「何もしてねぇだろぉが」
何度もお礼を言う來夢に向かって
「早く部屋から出ていかねぇと…減給だぜ?」
先程とはうってちがった様子でニヤッと微笑む副長。
「ただでさえ、少ないお給料を更に減らすと!?」
こちらも、かなり青ざめている。
「では、副長っ!!おさらばだぜっ」
「俺には敬語使えぇぇ!!」
と叫んでみたが、來夢が座っていた所には、山崎が座っていた。
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