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「何の為に行ってんだよ、ったく…」
『いつもなら、完璧にこなす仕事を何故コイツは…』
「山崎……」
聞かない事には、何も始まらない。
「お前、新撰組が嫌に…」
「そんなはず無いでしょう」
そんな思いも途中で遮られてしまった。
「俺の居場所はここにしかありません。新撰組に入った時からここを死に場所と決めています」
山崎の目に一瞬、青い光が宿っていたのを見逃さなかった。
でも直ぐにケラッと笑って
「ただちょっと副長が羨ましかったから、ふざけてみました」
山崎は立ち上がった。
「ふざけてみました、じゃねぇよ…ビビらせんな」
土方自身、久しぶりに山崎の決意を聞けた事に嬉しさを感じていたが、そこは悟られないように隠す。
「でも、羨ましいって……?」
土方は、立ち上がった山崎を見上げて問いかけた。
「あぁ…それは……」
襖の近くにある箪笥に背中を預けながら山崎はこたえた。
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