穂稀高校-1-

3/4
前へ
/4ページ
次へ
「ごめん春、祐希がなかなか起きなくて」 「いえ、別にいいですよ!」 謝る悠太に、春はあわてて言った。 「俺は無視かよ…」 眼鏡の位置を直しつつ、不満げに要が言う。 「つーか悠太、祐希は置いてきたのか?」 「うん、起きなかったから。それに、いつまでも甘やかしてたら祐希のためにならないでしょ」 「それはそうですけど…」 春が口を挟む。 「入学式の日に遅刻ってあんまりじゃないですか?」 「春は祐希に甘過ぎるよ」 祐希が居ないからか、悠太は今までためていた不満を次々に言っていく。 「だいたい祐希はいっつもマイペースで俺のことなんて全然考えてないんだから。別にマイペースが悪い訳じゃないけど、祐希はマイペースすぎるんだよ…だいたい祐…(強制終了)」 普段は静かな悠太がぶつぶつ言っているのを見て、二人は呆気にとられていた。 すると、 「悠太待ってよ~!」 後ろから祐希が走ってきた。 「…祐希?」 「もー、俺全速力できたんだからね」 頬を膨らまし、全速力できたというわりには呼吸が整っている祐希が言った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加