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「ごめん春、祐希がなかなか起きなくて」
「いえ、別にいいですよ!」
謝る悠太に、春はあわてて言った。
「俺は無視かよ…」
眼鏡の位置を直しつつ、不満げに要が言う。
「つーか悠太、祐希は置いてきたのか?」
「うん、起きなかったから。それに、いつまでも甘やかしてたら祐希のためにならないでしょ」
「それはそうですけど…」
春が口を挟む。
「入学式の日に遅刻ってあんまりじゃないですか?」
「春は祐希に甘過ぎるよ」
祐希が居ないからか、悠太は今までためていた不満を次々に言っていく。
「だいたい祐希はいっつもマイペースで俺のことなんて全然考えてないんだから。別にマイペースが悪い訳じゃないけど、祐希はマイペースすぎるんだよ…だいたい祐…(強制終了)」
普段は静かな悠太がぶつぶつ言っているのを見て、二人は呆気にとられていた。
すると、
「悠太待ってよ~!」
後ろから祐希が走ってきた。
「…祐希?」
「もー、俺全速力できたんだからね」
頬を膨らまし、全速力できたというわりには呼吸が整っている祐希が言った。
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