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「ちょ、ちょっと待てって!」
「ん? どったの?」
がっちりつかまれた手をなんとか振り払い、俺は立ち止った。
同じく立ち止まった彼女は、不思議そうな顔をした。
「トイレにでも行きたくなったのかい?それなら・・・」
「違うわ! なんなんだいったい!?」
「なにって、約束したじゃん。生徒会に入ってほしいから迎えに行くよ~って。だから生徒会室に・・・」
「今朝の件なら断ったはずだぞ!」
そう指摘すると、彼女は小さく微笑んで言った。
「この学校に新しい風を入れたくてね。だから、どうしても転校生であるきみに、生徒会に入ってほしいんだ」
その微笑みに、俺は一瞬ドキッとしたが、すぐに首を振る。
「・・・俺には関係ないだろ」
そう言って俯く俺の手を、彼女はまた強引につかんできた。
「まあまあ。詳しい話は生徒会室でするから、それを聞いた後でも遅くはないでしょ!行くよ!」
「っと。おい! だから手を引っ張るな!」
俺のなけなしのプライドをこれ以上傷つけないでくれ・・・。
正直、こいつが言ったことがすべて本当だとは思えなかった。ただの勘だが、こいつは何かを隠している気がする。
何を隠しているかはわからないが、このモヤモヤをそのままにするわけにもいかない。
仕方ない。とりあえず付いてくだけ付いていってみるか。
そんなことを考えつつ、俺たちは生徒会室があるらしい方向へと足を進めていった。
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