プロローグ

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「よし、今日からお前はバアルと名乗ると良いぞ」 主従揃って頭を悩ませている間に彼女はアモンの名前まで決めてしまったようだ 飼う気満々だ 先ほどから必死に爪を立てていたアモンも 革のグローブに効果は無いと悟ったのか、はたまた私が助けにいけないとわかったのか 抵抗を辞めてされるがままになっている 長らくの友人との別れに悲しみに浸る一人と一匹 対する彼女のご機嫌は上昇中である 「さて、思わぬ拾い物も出来たし 早く持ち場に戻るとするか」 アモンを胸甲の内側にしまいこむと彼女はそそくさと立ち去った 彼女がいなくなったのを確認して私は草むらから這い出したが 正直なところ、落胆を隠しきれなかった アモンを失ったことにより 学業における抜け道を失ったほか、精神的な安寧をも失ったことになる (ふんだりけったりだ……) やり場のないやるせない気持ちを如何にしたものかと考えて 私もそそくさと林を後にしようとした しかし 少し歩いたところにまだ彼女がいた
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