プロローグ

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思いの外近くに来たようだ これは少し困る 隠れる場所に心当たりがあり、他人の目を欺けると言ってもそれは前もって隠れた場合だ それに対し私はちょっと焦り気味に草むらに飛び込んだ形なので 動くと音が外に漏れてしまう しかも先ほど言った通り足音が存外近くまで来てしまった これでは逃げることはおろか、身じろぎ一つできないわけで (ヤバい、背中がつりそうだ) こうなったらさっさと私の視野の届く範囲まで来て欲しいものだが 現実は無情かな、なかなか件の足音は近づく気配がない そう思って、私が無意識の内に兵糧攻めにあっていることに気付いたのか、なんなのか 足音は一気に私のオアシスに踏み込んできた 「…………」 そのおかげでやっと侵入者を拝むことができた しかし私はその人物の服装をみた瞬間絶対に見つかってはいけないと肝に命じた 黒いマントに深緑の軍服、鞭とサーベルの刺繍をつけた軍帽 間違いなく我が校の風紀維持部隊であった 風紀維持部隊とはまぁ、普通の学校で言うところの風紀委員みたいなものだが 生徒でありながら並の教官以上の権限を持つ非常に危ない集団なのである ぶっちゃけうちの学校には退学と言う概念がないので この部隊に目をつけられると仕官先にありつくまでその部隊にイビられ続けなければならないし 教官の制止を聞く必要がないので 全生徒の前で公開リンチに合う可能性も否めない
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