セシル様、立つ。

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城に入ると大臣がそそくさと寄ってきた。 『セシル様殿!お待ちしておりました…ぁ、あれ?』 大臣が一瞬、変な顔をする。 セシルはにこやかに笑う。 「どうしたんだい、大臣?」 「いえ、なんでもありません!セシル様殿!さぁ王の元へ!」 大臣に促され、セシルは王の間に入った。 『よくぞ戻ってきた!セシル様!…………ん?』 さすがに王も違和感を感じる。 「甲斐夏男(かいなつお)…じゃなくて、ディスラー閣下、コレがクリスタルです」 「私はバロン王じゃ、何を寝ぼけておるセシル様…ん―…」 (どういう事だ…セシルと言おうとすると、セシル様と強制的に変換されてしまう…) 「王(仮)、背中から湯たんぽが見えてます」 セシル、笑顔。 慌てて、背中を確認してはっとする王。 むしろ、自分が偽物の王だと分かってやってる言動。 どういう事だ。 これでは話がおかしくなってしまうではないか… 「ワシはバロン王。 それからディスラー閣下ではなく、かれは総統だ。」 「これは失礼しました。」
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