18人が本棚に入れています
本棚に追加
「(おせぇ……。)」
今日は待ちに待った、KAITOが我が家に来る日。
しかし、予定の時刻になっても
いつもの配達員がこない。
あの気に障るはにかんだ顔が、
今はとても待ち遠しい。
彼の名前は、不知火 晃人(シラヌイ アキト)
一人前の声優を志す21歳の男だ。
まだ未熟なものの、その才能は折り紙付きなのである。
「(……まだか…?)」
だが…
無口で無表情、おまけに無愛想の三重苦のくせのつよい男なのだ。
「(…言い過ぎだろ…。)」
愚痴をこぼしながら、コップにコーヒーを注ぐ。
鼻腔をくすぐるコーヒー独特の良い香がまだ
朝なのだ、ということを教えてくれる。
最初のコメントを投稿しよう!