01.違和感

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 高校二年生の三学期。  前担任だった綿谷先生に変わり、新しくこの学校に赴任してきた教師が担任になった。  中途半端な時期に赴任してくるくらいだからそれなりの理由がある。  その事については誰も語りはしない。  それは三年四組の評判が良くないことにそのまま直結しているからだ。  綿密に言えば“元”二年四組の生徒全員だ。もちろん、私も含めて……。  新しい担任の先生は、どんよりと淀んだ空気の二年四組に、新しい風を吹き付けた。 「柏木広信(かしわぎひろのぶ)です。右も左も分からないけど、色々教えてくれな」  赴任した時の先生の簡略な挨拶は、さっぱりとした性格が良く反映されていた。  力強い瞳とあどけない笑顔がすごく印象的で、私は本能的に柏木先生から目を離せなかったのを覚えている。  きっと他の皆もそうだったに違いない。  だって、あの人は空気を変えた。
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