01.違和感

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 先生は不思議な人だった。  いつも隙の無い身のこなしだし、誰にでも平等で笑顔を絶やすことは無かった。  それに人懐こい人柄か、赴任してすぐにファンクラブができ、半年たった今では学校中に拡大する勢いだ。  女子校の為に、そこら辺のアイドルと違わない。  たまに私はこの勢いが怖い。男の人が居たらいたで、怖いのだけれど。  女子校は、なんていうか、もう……別世界と言ってもいいのかもしれない。  とにかく人気のある柏木先生は、昼休みだろうが放課後だろうが引っ切り無しに、人に囲まれていた。  内気な私には話し掛けることが出来ないという有様だ。  出会いの場がない女子校では“かっこいい男性教師”というのは、是が非でも関わりたい存在なのだ。  私は遠くから眺める事しか出来なかった。  先生を見ていると、悲しく胸が締め付けられる。  その理由を私は考えない。
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