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先生は不思議な人だった。
いつも隙の無い身のこなしだし、誰にでも平等で笑顔を絶やすことは無かった。
それに人懐こい人柄か、赴任してすぐにファンクラブができ、半年たった今では学校中に拡大する勢いだ。
女子校の為に、そこら辺のアイドルと違わない。
たまに私はこの勢いが怖い。男の人が居たらいたで、怖いのだけれど。
女子校は、なんていうか、もう……別世界と言ってもいいのかもしれない。
とにかく人気のある柏木先生は、昼休みだろうが放課後だろうが引っ切り無しに、人に囲まれていた。
内気な私には話し掛けることが出来ないという有様だ。
出会いの場がない女子校では“かっこいい男性教師”というのは、是が非でも関わりたい存在なのだ。
私は遠くから眺める事しか出来なかった。
先生を見ていると、悲しく胸が締め付けられる。
その理由を私は考えない。
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