第一章

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私たちの通っている学校に行くためには、延々と続く坂を上り続けなくてはならない。体力のない人はここでリタイアすることが定番だ。 「おはよー」 後ろから走ってくる女子がいた。 「おはよ、ハルカもこの時間に登校?」 ハルカこと、久遠遙(くどうはるか)。 私とは違い、黒いロングストレートに黒い瞳。容姿端麗で学年を問わずに人気の高い女子生徒であり、私の友人の一人でもある。 「ええ、この時間は人が少ないから気軽に学校に行けるからね」 「人気だもんね」 私と違って毎日告白されてるらしいし。ファンクラブまであるらしい。 実際のところは、アスナにもファンクラブは存在するが、隼人や遥はそのことをアスナには言ったことがない。 アスナはそういう類はあまり好まないからだ。 「そんな人気は必要ないわ。あたしはアスナみたいな友がいればいいのよ♪」 いきなり抱きついてくる遥。 「ちょ、ハルカ。苦しいよ」 見た目からでは想像しにくいが、遥の力は成人男性なら軽く捻じ伏せれる程度である。
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