第二章

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~~回想~~ その日は綺麗な満月だった。 少年は踵を返すと闇の中に消えようとしていた。 だが、少年はピタリと止まった。 そしてこちらを振り返り、 「・・・・・・巻き込んで、悪かった」 と少年は一言だけ呟く。 呟いた少年の瞳は血のように赤い光を放ち、暗闇の中でも綺麗に浮かび上がっていた。 だが、その強い意志を宿す輝きは、どこか影を落としている。 あの影の落とし方を、私は知っていた。 アスナはその眼に言い様のない孤独を感じた。 その眼差しに、幼少の頃の自分を重ねる。 孤独、向けられる白い目、石を投げられたことも・・・・・・ アスナは蘇る記憶に自然と視線が下に落ちる。
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