第一章

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だけど、私が見とれたのはそんな異常なことではなく、少年の瞳に見とれていた。 黒い髪と黒い瞳はよくあるのだが(私のようにハーフみたいな人が少ないだけだけど) 彼の場合は、黒い瞳は黒と表現するよりも、全てを飲み込んでしまう漆黒と呼んだ方がいい。 「……おい」 回りの音など全く耳に入らず、少年の眼だけじっと見ていた。 こんな綺麗な眼を見るのは、生まれて初めてかも…… だが、アスナはここであることに気が付いた。 少年の眼をよく見るために、顔がかなり接近してしまったこと。 残り3センチで唇が触れるところまで来てしまったことに。 「……?」 「……!?」 一気に恥ずかしくなり、急いで少年から離れる。 今絶対に顔赤くなってる~~/// 頭から煙が出そうなくらい恥ずかしいことを、私は大胆にも見知らぬ少年に見られてしまった。 「大丈夫か?」 見知らぬ少年に心配すらさせてしまった。 「大丈夫、大丈夫だから」 落ち着け、落ち着け私。 ドキドキする心を落ち着かせ、なんとか平静を保とうとする。 ………… ……………………
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