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それからというもの、武久は野上先生を避けるようになった。
見れば、苦しくなるだけなのだから。
廊下で、そんな武久を見つめる先生がいた。
武久より5歳上の山之上 証(やまのうえ あかし)先生だった。
先生は、化学の先生で、だいたい白衣を来ていた。
「……」
武久は、野上先生を避けつつも、極力、自然に振る舞ってはいたので、他の人は気づく事はなかった。
でも時々、苦しくて泣く事は何度もあった。
それでも、次第に、武久の頭にはある事が浮かんできた。
『本当に、その人の事が好きならば人の幸せをも願えるはずだ。童話の人魚姫のように』
それから、さらに1ヶ月、2ヶ月と過ぎ…
間もなく、3年は卒業という時が近づいた時…
武久は、たまたま1人で街を歩いていた時に、偶然に見てしまった。
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