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それからというもの、武久は、野上先生を見る度にドキドキしてしまう。
しかし、野上先生本人は、武久のそんな感情に気づく事もなく、武久の姿を見れば話しかけていた。
だが、その頃になれば、武久は生徒たちとも仲良くなり、生徒と一緒にいる事も多くなった。
なので、だんだん、野上先生と会う事は少なくなって来ていた。
放課後、武久が音楽室にいると数人の生徒がやって来た。
「せぇんせ~いっ!!」
「先生、何してんの?」
「先生ーっ、遊んでくれ」
それは、2ー2の生徒たち。
綾人(あやと)・藤也(とうや)・大和(やまと)の3人だ。
「おっ、来たね。資料の整理だよ。僕は、何クラスも担当しなきゃいけないから」
「そっか。先生、いつ終わりそう?」
綾人が聞く。
「もう少しかかりそうだけど…どうして?」
「一緒に帰らない?待ってるから!!」
藤也が、にこやかに言う。
「オッケー。じゃ、頑張りますか」
しばらく整理を続け、武久は、3人の生徒と帰った。なぜなら、この3人の家は、アパートの近所にあるからだ。
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