この一件、私が仕切らせて頂きます

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 とりあえず明日の放課後、気になる部活を見学してみよう。少しは自分から動かないとな。もしかしたら、新たな萌えを発見するかもしれんし。  あっ、素敵な部長さんとか拝みたいな!変態美形とか爽やかイケメンとか、まだまだ掘り出し物がありそう。運動部と文化部の代表者同士のいがみ合いとかも良い。生で見られたらマジで楽しそう! 「フォッフォ、明日が楽しみになってきた」  謎の笑い声が込み上げたが、いつものことだ。得意の腐妄想で、部活が決まらない重圧から逃れる。寝る子は育つとのことなので、今日も早めに就寝した。  だが、しかし!  現実はそう甘くはなかった!  いや、見学はしたよ?ちゃんと5、6ヶ所回ったよ?でもさ、やっぱりやりたいなって思える部活はなかったしさ、そんな腐的な要素を含んだ展開も起こんないし、いやいやそれは普通なんだけど、とにかく部活決めるの楽勝とかどこかで思ってた俺は馬鹿みたい。ちゃんと選ばなきゃと思えば思うほど、気持ちは焦るばかりで空回りしている。 「どうしよう…」  昨日の勢いはどこへやら。放課後、誰もいない廊下をあてもなく歩いていた。もう帰ってしまおうかと、自分の中の天使と悪魔が戦闘していた、その時――― 「あ、」  そう、俺は忘れていたんだ、大事な事を。どうして忘れていたんだろう。 .
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