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大分落ち着いたころ、椿が僕にホットミルクを持ってきてくれた。
「大丈夫?飲める?」
『うん、ありがとう』
僕はそれを素直に受け取り、一口飲む。
もうなんともない、体に安堵の息を吐く。
そして…
『…なんで止めたの?』
僕は真っ直ぐ横にいる椿を見る。
すると椿は困ったような顔で口を開いた。
「あそこで理事長は殺せたかもしれません。
でもそれじゃ貴方の正体がばれます。
神崎治が理事長になったということはこの学校にはまだ裏の人間がいます。」
『それでも…良かった…』
マグカップを持っている手に力が入る。
それと同時に涙が出てきた。
『僕は…あいつが許せない…
僕たちの生活を壊した…人生をめちゃくちゃにしたあいつが許せないんだ!…なのに…』
椿が流れていく僕の涙を指で拭き取って、優しく抱きしめてくれた。
「ごめんね…でもまだ時間はある…
あいつを殺すのはちゃんとお母さん達の居場所がわかってから…」
『うっ…うん…』
僕は涙を堪えてしっかり頷く。
そんな僕の頭を椿は優しく撫でてくれた。
そう、僕は母さんと父さんを探しにここに来たんだ。
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