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すると亮次は何事もなかったように言う。
「この学校の生徒会長にあわそうと思ってな…
ほら?今年入ってきたのお前だけだし、今日入学式も抜けて顔わからないだろ?」
亮次の言葉に僕は素直に頷く。
でも引っかかった。
対照的な二人の表情とそして自分の胸に感じる胸騒ぎが…
どっちの表情を信じればいいの?
だけど時は待ってくれない。
僕が悩んでいる間に僕と翔は上の階に移動を始めていた。
さっきの言葉が気になる。
僕はどうしても亮次が言った「念には念を」と
翔が言った「莉音は違う」って言葉は気になった。
僕は視線だけ翔に向ける。
翔は相変わらず浮かない顔で歩いていた。
「力」を使えば翔の思っている気持ちがわかる。
そう思うと、僕の手は勝手に翔の手にのびていた。
「もし…」
『っ!』
急に喋り始めた翔に僕は伸ばしていた手を咄嗟に引っ込める。
だけど翔はその動作に気付いた様子なく、歩きながら前を向いて話を続けた。
「もし、僕の親がある研究材料を探してて、僕も探すように言ってきました。
でもそんな僕の尊敬に当たる人はその親の研究を反対していた。
だけど突然その尊敬してる人も親と同じ研究材料を探し始めて僕に探すように頼んできた。
そしてそんな僕はあるときそれらしきものを見つけてしまった。」
そこまで言って翔は足を止めて僕をまっすぐ見てきた。
「莉音ならどっちに渡す?」
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