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Side~莉音~
「莉音…起きて莉音…」
『ん…』
僕は椿の呼び声で、ゆっくり目を開ける。
泣いて寝たせいか目が重いし、そこまで寝てないせいか、まだ眠く頭が働かない。
だけど、それもある臭いで身体が反応する
『っ…椿?』
黄色い目が赤く色付く。
椿に視線を向ければ僕を安心させるように頭を撫でてくる。
『…なんであの匂いが…』
「大丈夫ですよ。私は何処も怪我してません』
『じゃーなんで!』
上半身を起こして椿を上から下まで見ていくが椿に怪我をしたような形跡はない。
でもこの血の匂いは…
「はい…これ…」
僕がまた口を開こうとしたとき椿は僕に小さなボトルを3つ渡した。
アルミで出きったボトルは中が見えないけど、そのボトルからは確かに血の匂いがする。
『血?…』
「そう、私の血です。
当分それでもつと思います」
椿の言葉に僕は首を傾げる。
『どういうこと?』
「莉音は当分、藤堂莉音として学校で生活してください。
だから今回のようなことも当分は控えてください」
あまりにも真剣に言ってくる椿に僕は困惑する。
『どうして…そんなことしたらあいつらに…辿り着かない…』
「ここにいるだけで今は十分です。莉音がいったヴァンパイアのことや突然、理事長になった治さんのことが気がかりです。
これ以上下手に貴方が動けば正体がばれてしまいます」
もっともな事をいう椿に僕は何も言えず下唇をかむ。
すると椿は微笑む僕の頭を撫でてくれる。
「大丈夫です。その間私の方で少し調べてみます。だから莉音はその間楽しい学院生活を送ってください」
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