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「莉音、誕生日おめでとう」
「おめでとう」
『ありがとう』
目の前には11本のローソクがささったケーキ
僕の前には微笑んでくれている両親
あの時は僕の11歳の誕生日だった。
もうすぐ小学校を卒業する僕にとっては今はとても楽しくて、そしてこれからがとても楽しみだった。
なのに…!
穏やかな空気の中、突然開いた扉から入ってきた武装した人達。
そしてその真ん中にいるあの男。
神崎 治
「こんにちは、貴方たちは私達の実験体になってもらいます」
「実験体?意味がわからない!出て行け!」
突然のことに母さんは僕を抱きしめるように隠し、その前に父さんが僕たちを守るようにたった。
そんな中、目の前の男は続ける。
「まだ状況がわかっていないのかね。貴方たちが歯向かうのなら命はない。」
あまりの残酷な言葉に両親たちは言葉を失っていた。
その時、僕はむけられている銃が兎に角怖くて、何も出来なかった。
―・―・―・―・―・―・―・―
『…なんであいつが…ここに…』
目が覚めた僕は目から頬へ流れている涙を拭き起き上がる。
その時、さっきより視界が明るい事に気付く。
『っ!?』
僕は急いで起き上がり、近くにあった鏡を見る。
そこには隠していた黄色い目に銀色の髪があらわになった自分の姿が居た。
『!!何処に…』
僕は慌てて周りを見る。
そこは全く知らない部屋で必要な家具しか置いていない部屋だった。
白をベースに整えられた部屋はあの場所を連想させる。
僕の頭に最悪の事態がよぎる。
『そんない…や…だ…もう…嫌だ!!』
僕は頭を押えてその場にしゃがみ、叫ぶ。
その瞬間、僕の叫び声に連動して窓ガラスが粉々に割れた。
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