第1話 さよなら

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ーⅢー  「朗報があるぞ古瀬ッ!!」  最高気温35℃  今朝の天気予報ではそう言っていた。  35℃っていう数字を聞くだけで暑い。そして実際……暑い……。  その暑さに拍車を駆けるように、猪狩先生はハイテンションだった。  一方私はというと……連日の猛暑と補習でノックアウト寸前である。  「なんですかぁ先生……。彼氏でも出来たんですか……?」  「はははー!!違うわよ!そっち方面はほっといてよ!これは古瀬にとっても朗報よ!」  「はいはい……なんなんですかー」  「なんとッ!!今日で補習は終わりになるぞーッ!!」  「……いや…知ってますよ…」  そうだ。  今日の補習が終われば、ついに私にも夏休みがやってくる。  確かにそれは私にとっても朗報ではあるが……何故猪狩先生がハイテンションなんだろう……?  「それはだねぇ古瀬ッ!!今日の補習が終われば、私も夏休みなんだよッ!!」  「は、はぁ……」  生徒より夏休みに胸ときめかせる先生って……。  ……あぁ…暑いなぁ……。  「ってなわけでッ!!補習を始める!!」  
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