第1話 さよなら

15/19
前へ
/19ページ
次へ
 ー生徒会室。  普通の教室くらいの広さの中に、水道、ガス、冷蔵庫が置かれている。  雪弥曰わく、これらの使用権こそ生徒会の特権らしい。確かにこれほどまでに充実していればかなり快適だろう。  加えて最新式のパソコンまで置かれている。そのディスプレーには今年の凛桜祭のポスターのデッサンが映し出されている。凛桜祭とは我が校の文化祭の名称である。  普段一般の生徒が生徒会室に入ることはない。といいより入れない。  生徒会室の鍵は、生徒会執行部の5人しか持っていないからだ。雪弥は執行部の一人、生徒会会長なので当然持っている。  何故俺がこんなところにいるのかといかと言うと、単純に雪弥に招かれたからだ。  「単刀直入に言って、僕達に残された時間はそれほど多くありません」  そう言って雪弥はパソコンを操作した。凛桜祭のポスターが表示されていたディスプレーが暗転し、そこに白い文字が表示された。  『ベルン帝国 ルイーダ地方へ進軍』  「ベルンがついに動いたってことか…。アストリアは?」  「アストリア王国もルイーダへの進軍を開始しています。ルイーダ地方はアストリア王国の最終絶対防衛ライン。もしもベルン帝国の手に堕ちたら……」  「ベルンのアストリア本土攻撃の始まり……。協会は?」  「協会は表面上は中立ですが、極秘裏にルイーダへの支援準備を行っています」  
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加