第1話 さよなら

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 「確かに時間はないな……。協会からの指示は?」  「与えられた任務を続行せよと。しかしあまり時間はないと急かされています」  こちらの世界にやって来て2年。  俺達の探し物がこの土地にあるのは間違いないのだが、それ以上の情報はない。  雪弥と俺とで調査はしているが、状況は芳しくてはない。  「それともう一つ……」  まだあるのか…。  俺は溜息をつき、雪弥に先を促した。  「ベルン帝国がこの世界に例のモノがあることを突き止めたようです」  なるほど……ついにか……。  「ベルン帝国がこの世界に『捜シ者』を送り込んだという報告も受けています。ベルンのルイーダ侵攻と合わせて、協会は焦っているようですね」  「もしその『捜シ者』って奴と鉢合わせしたら……」  「なるべく遭遇は避けるようにと。最悪の場合は……抹殺せよとのことです」  「穏便に済ませたいところだな……」  「そうはいかないでしょうけどね」  そう言うと雪弥はクスクスといつもの笑みを浮かべた。  とりあえず、俺達には時間がない。  一刻も早く、『アレ』を回収しなければ………  世界は滅ぶ…  
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