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坂田氏はボロボロの衣服の袖に手をやると、一本の藁が入ってた。
くよくよしても仕方ない
坂田氏は藁を振りながら歩いていた。
そこへ小さな虻が坂田氏の周りをブンブンと飛び回り、坂田氏は上手に虻を捕まえて糸にくくりつけ、その糸を持っている藁の先端にもくくりつけた。
藁から伸びた糸にくくりつけられた虻を先導に歩いてると、大きな杉の木があり、その大きな根の元には赤い布に包まれた小さな赤子が置き去りにされていて、それを小さな小さな子熊が命を狙ってる様子だった。
坂田氏はその赤子を助けようとしたが、子熊とは言え野生の獣。
坂田氏に気付き、坂田氏に向かって立ち上がり威嚇する姿は大熊ほどではないが迫力はある。
子熊からある程度の距離…言わば生命のボーダーラインが縮まない距離を保ち、坂田氏も赤子を守る為、気迫を込めて睨み付け、お互いを牽制し合ってる。
その時、藁の先端の糸に繋がってる虻が子熊の鼻先をチクっと刺した。
子熊は痛みよりも驚いて、そそくさと脇にある雑木林に逃げて行き、赤子は無事に坂田氏の腕に包まれて救いだされた。
坂田氏は赤子と一緒にあてのない旅に再出発した。
育てていくには無謀だが、置き去りにすることのほうが人道に外れると…。
その後…坂田氏は消息が分からなくなった…
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