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無事村に着いた。 村自体変化はないが、村人の様子が違った…。 懐かしい村人も、新たに見かける村人も、全員痩せこけて、疲労のせいか顔色も青白く覇気がない。 坂田氏の姿を見ても誰一人驚くこともなく、会話さえする気がないのか、そそくさと畑仕事をしたり、洗濯物を干したり、うつむいたまま家に逃げ入るようにも見えた。 『ここが…父の故郷ですか?。なぜ村人は……。まるで…』 少年が喋りきる前に言った。 『…病人か…死人か…。』 坂田氏に気付き、村長が従者と一緒に歩み寄ってきた。 『ヒヒヒ。これはこれは坂田さん。ヒヒヒ…またこの村に用でも?。』 『村長さん、お久しぶりです…。なぜ村人はこう…覇気がないのですか?。何かあったのでしょうか?。』 『ヒヒヒ…。さぁ…。さしずめ食べる物がなく、飢えを主張してる、演出かなにかじゃないんですかね。ヒヒヒ…私から何かを期待しているんでしょう。ま…金がないから、そんな演出しても私は恵んでやるわけないのに…ヒヒヒ。金もなければ考えることも浅はかですな…ヒヒヒ…イ~ヒヒヒ…。』 『う、飢え?。何もないんですか?。でも田畑があるじゃないですか。それに…あれは…演出でも演技でもないのでは…。』 『田畑から実る物は私の貸してる土地から獲れる物…言わば私の物…ヒヒヒ。それが欲しいなら、米税や菜っ葉税を払ってもらわないと…。それにね…ヒヒヒ…皆さん私から貸付されてますから…支払う為には働いてもらわないと…ヒヒヒ。』 『米税?菜っ葉税?。クッ…そこまでしますか…。村長さん、貴方はそれでも人間ですか?。村人も同じように命ある者。そんな殺生な考えお止め下さい。』 『なにを~。坂田さん貴方は今はこの村の人間ではない。ヒヒヒ言わば部外者。さぁ…貴方がいる場所なんてないのですから、私が不快になる前に立ち去りなさい。ヒヒヒ…。でなければ、立ち寄り税を頂きますよ。』 『村長……貴方って人は…。』 『何ですか?。その目は?ヒヒヒ。何か不満でも?。どうせ立ち寄り税さえも払えないのでしょう。ん?…坂田さん、貴方が手にしてる不思議な模様の蝶……それは蝶ですよね。綺麗だ…。ヒヒヒ…坂田さん、その蝶を私に譲ってくれませんか?。その蝶を立ち寄り税として差し出せば…ヒヒヒ。どうです?。それより今すぐ出て行きますか。』 『…この蝶でよければ……。』 坂田氏は蝶を渡した。
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