雷鳴

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『いやぁ、実に気分が良い。こんなに笑ったのは何年ぶりか。』 青年は顔を紅くして、痩せた男の肩を叩いた。 『いえ。私達もこんなに安らぐのは久しぶりです。弟たちも、腹を出して大鼾をかいています。きっと今までの疲労と、この安堵からのおかげです。』 『だったら本当に好きなだけ滞在してもらっても構わないが……雉太郎殿』 背の高い痩せた男の名前は雉太郎といった。 『弟さん達も疲れているのなら尚更。…え…と、猿二郎と犬三郎…でした…よね』 肉付きの良い男を犬三郎、毛深い男を猿二郎といった。 『そうですね。弟たちも私以外の人の前で…酒を呑んでることもあるが、こんなに大鼾をかき、無防備で寝てるのは初めてです。きっと桃太郎さん貴方の人の良さが安堵感を与えてくれてるのでしょう。ここに長居するかは明日弟たちと相談させてもらいますが…万が一そうなれば、その時はよろしくお願いしますね。』 青年は桃太郎という。
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