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村の北部に小高い丘陵があり、そこには村に相応しくない豪華で派手な大きい館に近い、村長の家がある。 村長とは俗に言う村の代表者で、その当時村長なる人物は富豪者が多かったが、昔からの地主と言うわけではなかった。 訳あってお金の羽振りが良いが、だが、お金だけで村人の心を掴んだわけでなく、信頼も人望も確かにあった。 前村長は大地主で、言わば村半分ぐらいの土地が前村長のもので、そこに村人を住ませていたが、税金…土地代…家賃を強要し、払えない弱者は村から追い出すぐらいの勢いで、情け容赦なかった。 村人の一人、坂田氏も弱者の一人で、藁を編んで生計を立てていた。 坂田氏は働き者で、困っている村人にも屈託のない笑顔で優しく手を差し伸べ、村人から信頼と人望もあったが、不運なことに坂田氏の土地が荒れ、藁を摘むことさえできなくなり、収入が無くなってしまう。
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