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『ヒヒヒ…坂田さん、もう半年間土地代も家賃も未納ですよ。私も言いたくないけど、ヒヒヒ…出て行ってくれませんか…ヒヒヒ。』
『私は…私はどこにも行くあてもありません…。どうかあと三月…いや一月待って頂けませんか。その間に………次に住む場所を探しますんで…。』
『ヒヒヒ…坂田さん……可哀想に…ヒヒヒ。出て行きなさい。金がない人に…ヒヒヒ…なぜ私が土地を一月も貸さなければ?。でも…ヒヒヒ…ヒヒヒ…すぐにと言っても…お困りでしょう。…一刻だけ……御天道様が真上に昇るまでには…出て行きなさい…ヒヒヒ。金もなければ時間もないですよ…ヒヒヒ…荷物をまとめて、と言っても、何もないんでしょうがね…ヒヒヒ…ヒヒヒ…イヒヒヒヒヒ。』
坂田氏は涙ながらに村人に相談やお金の工面を頼んだが、村人は村人で一日の食事で手一杯な為、申し訳なさそうに断り、見送るしかなかった。
『可哀想な坂田さん…。』
『村長は…鬼だな。』
『シッ。そんなこと村長に聞かれたら、また土地代を値上がりされるぞ…。』
村人は言わば、お金で支配され、がんじがらめにされていた。
坂田氏は泣く泣くこの村を出ていく羽目になった。
家財道具もなく、ただただ身一つで村の出入口の門に歩いて行った。
まだ正午の明るい刻だった
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