唇から…

好き。

その話題では大して会話は盛り上がらなかったが、少し空気は和んだようだった。会話が盛り上がらなかったのは、お互いの誕生日が来年の２月だったからで、まだずっと先だったからだ。それでも、同じ月に生まれたということで、愛奈は嬉しくなった。冬産まれは寒さに強いという迷信を二人で議論し、愛奈は勿論圭介に言い負かされたのだが、いつもと同じようにニコニコしながらさりげなく圭介を褒め、圭介も若干恥ずかしがりながらも、いつもと変わらぬテンションに戻った。