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『ぬくもり』 あの日の帰り道 白い白い雪が降った 雪を捕まえてみると すぐに手のなかで溶けてしまった 白い白い雪 僕には綺麗でさわれない きっと君は溶けてしまう 何度捕まえようとしても 僕は砂糖を掴んでみた 砂糖は少ししか溶けなかった 僕は塩を掴んでみた 塩は少しも溶けなかった でも君だけは掴んだら いなくなってしまう 白い白い雪 僕には綺麗でさわれない きっと君は溶けてしまう 何度捕まえようとしても ただ僕は見つめるだけ それでもいいの?と誰かが聞く じゃあどうしろって言うんだい? 溶けてしまうと解っていて 苦しめると解っていて 苦しむと解っていて 見つめる他に何をしろって言うんだい? 地面に積もるとは限らない だったらお前の手の中で 溶けてしまう方が幸せなんじゃないかい? 背中を押されて 僕はまた見つめてみた でも僕は捕まえたりしない それが僕の愛 ただの自己満足と知っていても 綺麗ごとだと知っていても 僕は君には触らない 白い白い雪 僕には綺麗でさわれない きっと君は溶けてしまう 何度捕まえようとしても あぁ 気付いてるよ? もしかしたら 溶けてしまうのは 僕なのかもしれないってね
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