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「っ……すみません」
カイリは腹を抑えながら立ち上がり、瑞希を見ると直ぐに反転し、駆けた。
目的は楓の保護。
当の楓は目を閉じたまま立ち、そのまま動かない。
「楓さん……」
カイリは楓の近くに寄り、手を握る。
「やっぱり楓さんですね……
貴方はやっぱり変わってない…………」
思い出すように口ずさみ、体を寄せようとした時――
「ひゃははははははははぁ!」
「っ!?」
後ろでアルラが狂ったように奇声を上げた。
‡ ‡
瑞希がアルラの前に立ち塞がり、両手に小太刀を構える。
「お前……カイリに何を吹き込んだ?」
いつでも行動に移せるように神経を集中させながら口を開く……が、アルラはまたニヤッと口角を上げた。
「別に、灰色だったあいつに真実を教えてやっただけだが?
樟葉楓を"殺せば"苦しみや闘いから解放されるってなぁ……!」
喜びを抑えきれないような表情で笑う。
同時に瑞希の表情が強張っていく。
「もう一度聞いてやる。
"カイリ・ハーディス"に何を吹き込んだ?」
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