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「あか……か…………死にたく……ないぃ…………」
ようやく正気に戻ったのか、アルラは情けを求めるように口を開く。
「…………」
だが瑞希はそんなアルラを見るも、なにもしない。
「あひゃ…………お願いだ……ぁ……」
地面を這いずりながら怯えた表情で瑞希を見上げるが、瑞希はなにもしない。
その間もアルラの両肩からは血が流れていき、徐々にアルラの表情から生気が抜けていく。
そんなアルラを見かねてか、瑞希は視線を外し、カイリと楓に向かって歩き出した。
‡ ‡
「………………」
カイリは瑞希とアルラの闘いを見ながら一月ほど前の事を思い出していた。
楓が消えてしまい、ただ無気力に生きていた時に現れたアルラ。
そして聞かされた偽りの真実。
――樟葉楓は消えたと言われてるが、実は今も苦しんでいるんだ。
――あいつの苦しみはお前にしか消せないんだ。
――あいつを殺せ。そうすれば解放されるんだから
――お前は好きな相手を苦しみに縛り付けたままでいいのか?
「楓さん」
目の前で立ちながらも目を閉じる相手。
そんな楓にカイリは腕を絡めた。
「貴方が私や橘さんの事を思い出すまで私があなたを守ります。
"去年"に貴方がしてくれたことを、今度は私がしますね……?」
太陽が真上に昇り、辺りはとても昼だと思えない状況のなか。
表向きの世界のバランスが少し傾いた。
だが直ぐに修正される。
あるべき姿に、元の造られたプログラムに世界は修復されたのだ。
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