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「カイリ。盗み聞きは感心しないな」
「っ!?」
重い雰囲気の中、不意に男が言うと近くのドアがガタンッ!と揺れた。
「まぁお前にも言わなきゃならんことがある。
入ってこいよ」
そして追い討ちを掛けるようにドアに口を開くと、暫くの沈黙の後、ゆっくりとドアが開いた。
「……いつから気付いてたんですか」
バツの悪そうな顔をしながら入ってくる赤髪の少女。
カイリ・ハーディス。さっきまで俺を殺そうとした奴……だが、今は何故か恐怖等は無い。
むしろ親近感が湧いてくる位でなんとなく知っている……ような感じがした。
「ん、最初から」
男はケラケラと笑いながらカイリにからかうように笑う。
それに対してカイリは相手にせずに溜め息を吐き、男の横の椅子に座ると、少しずつカイリの赤い瞳が俺を映した。
「あの……先程は申し訳ありませんでした」
そして頭を下げながら謝罪をしてくる。
「え、あ、いや……別にいいって」
急展開すぎて着いていけなかった。
つかこれしか言えなくね?
だけど、カイリは一向に頭をあげようとしない。
「あー、カイリ。謝罪は後だ。楓に思い出させるのが最優先だろ?」
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