4月1日

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「……水の神都・シャルイーゼ王国。 古代王国時代から続く古の都は、もう一つのヴェニスとも呼ばれ、世界でもっとも美しい水上都市と言われている。 建物の隙間を縫うようにして流れる水路や、その両脇に立ち並ぶ建物など、街としての景観は非常に美しく……」 もはや聞き慣れた声を耳に通しながら、ふと視線を持ち上げ、空を見上げる。 視線の先にはいつもの青。 今日も変わらない空が広がっていた。 故郷を離れ、遠く異国の地までやってきても、空は変わらないらしい。 そう思って少し安堵する。 安堵。 自分では動揺していないつもりだったが、やはりどこか気負うところがあったのかもしれない。 「まぁ……無理もないか。」 「……? 急に立ち止まって、どうかしたの? お兄ちゃん。」 「いや、なんでもない。」 「そぉ? 疲れたりしてない?」 「問題ない。 このくらいは慣れてる。」 「でも、背中のお荷物……やっぱり多かったよね。 お兄ちゃんより遥かに大きいし……」 「全部[必要なもの]なんだろう? 奈々。」 「それは、そうだけど……」 「まあ、ぬいぐるみが必要なのかは疑問だが。 巨大すぎてリュックからはみ出てるぞ。」 「ひ、必要だよ? それがないと、たまに眠れない時があるんだから。」 「そういうものか……ぬいぐるみなら既に、頭の上に乗ってるだろう?」
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