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「うわぁ。学院の中で迷ったらどうしよう……」
「奈々は方向音痴だから、本当に迷うかも知れないな。」
「そうしたら、大声で呼んじゃおうかな。六桜神羅(りくおう しんら)お兄ちゃ~ん! って。」
「俺がいなかったら、恥ずかしい思いをするのは奈々だぞ。」
「あ……そっか。 って、なんでそういうこと言うのかなぁ。お兄ちゃんのいじわる。」
「そうならないように、ちゃんと覚えないとな。これから毎日通うことになるんだから。 ……休憩の方は、もう大丈夫か?」
「あ……ちょっと疲れてたの、やっぱりわかっちゃった?」
「当たり前だ。妹のことを判らない兄などいない。」
「どうかなぁ? お兄ちゃん、ニブイから。」
「ニブイって……」
「でも休憩は、もう大丈夫。ありがとう、お兄ちゃん。 それじゃ、行こう? あんまり遅いと先生に失礼かも。」
「そうだな。行くぞ、奈々。」
「うんっ!」
地面に置いた巨大なリュックを再び背負い直し、再び歩き始める。
これから目指すのは新しい学校。異国の文化の中に存在する、少し普通とは違う知識を学べる、教育の最高機関。
今日、俺はこの学校に転入する。妹の奈々と共に……
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