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「えっと……学院の側には学生達の生活に必要な店が林立している。食堂、娯楽施設、冒険者の宿、武器屋……その中でも最近のお薦めは、フロスティジャイアントのスペシャルアイスクリームである……わぁあ~……お兄ちゃん、アイスだよ!?ほら、こんなに美味しそう!ぴよ丸さんも、そう思うよね?」
「くるっぷ~、ぴぴよっ!」
「ほら、ぴよ丸さんも[美味しそう、食べたい]って!いいなぁ、きっと美味しいんだろうなぁ…………美味しいんだろう、なぁ~……?」
「ああ、美味しそうだったぞ。さっき店の前を通った時に見た。」
「えっ?だ、だったら教えてくれないと!ぴよ丸さんもナナも、食べたかったのに~。」
「はぁ……アイスクリーム屋どころか、もうお前の言う"凄い学院"の敷地内だ。ちゃんと周りを見てみろ。」
「あ、あれ?もう着いちゃったの?」
「まったく……本ばかり読んでいるからそうなるんだぞ。もっと自分で感じるモノを優先しないと。」
「う~、お兄ちゃんは意地悪さんだよ。ナナは目が見えないのに。」
「……目が見えなくても感じることは無数にある。それにお前には、母さんがくれた使い魔がいるだろう。」
「ぴ~よぴ?」
「そのぷくぷくしたひよこが、目の代わりになってくれてるだろう?そうでなくても、自分で感じる努力を怠っちゃダメだ。」
「ぴよぴよぴ~ぃ!」
「はぁ~い、わかりました。……お兄ちゃんの意地悪」
「別に、意地悪で言ってるわけじゃ……」
「だんだんお父さんに似てきた気がするなぁ。お兄ちゃんって。」
「親父? ふん……あんなヤツと一緒にしないでくれ。」
「……むぅ。父親なんだから"あんなヤツ"って言っちゃだめだよぉ。」
「くるっく~ぴぴよっ!」
「ぴよ丸さんだって、[少しは仲良く出来ないのかなぁ?どっちもまだまだ子供だねぇ]って言ってるよ? ……あ、あれ? お父さんも子供……?」
「ぴぴぃ~!」
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