プロローグ 幻想の彼方へ

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光を振りますように探していると一番奥の棚、中央にある他とは明らかに浮いた色をした箱を見つけた。 隼牙 「・・・ん?」 その棚に近づき、箱を手に取る。 箱に被る埃を吹き飛ばすと、箱の色がはっきりと分かるようになった。 朱色をベースに金色の装飾が左右対称に飾られていた。 鍵穴は無く、簡単に開くようになっている。 隼牙 「中身なんだろうな・・・?」 箱に興味を持った隼牙は箱を開け、懐中電灯で中身を照らし確認する。 中にはいくつかの雑誌位の厚さしかない古い本があった。 そして蓋の裏には一枚の御札が貼ってあった。 隼牙 「なんだこの札・・・それよりこの古本・・・」 隼牙は古い本だけを取り出し、箱を置いた。 懐中電灯で古本の表紙を照らした。 それは墨で書かれてから随分と年月が経ち、霞んでしまって二文字程度しか読めなくなっていた。 隼牙 「ん~・・・これは・・・『砕術』って読むのか?」 字を読みきり、直後に彼はある異変に気づく。 蔵の中の空気が一気に冷たくなった。 隼牙 「!? ・・・何だ? 妙に寒いぞ?」 隼牙はいつの間にか震えていた。 何故震えているのか解らず、体の震えを止めようと必死に体を押さえる。 隼牙 「何だってんだ? 震えがとまらない・・・」 隼牙が体を押さえている最中、突如何らかの気配を感じた。 ? 「あら? 箱が開いたと思ったら、人間が開けたのね」 気配の感じた方から女性の声がした。 それに反応するように隼牙はおそるおそる後ろを向いた。
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