プロローグ 幻想の彼方へ

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振り向いた先には、声の主であろう女性がいた。 しかし隼牙はその女性を見て一気に冷や汗をかき、そのままの状態で固まった。 その女性の容姿はとても美しく、透き通る様な白い肌に金髪で、つばがフリルの様になっている帽子を被っていた。 そして、隼牙が一番、目についたのは何もない空間にある裂け目だった。 そこから女性は上半身だけを出していた。 ? 「あら? そんなに驚いてどうしたのかしら? そんなに私が不思議かしら?」 女性は持っていた扇子を開き、口に当てて言った。 明らかに微笑を浮かべているだろう。 隼牙 「不思議ってレベルじゃねえだろ。 もう奇怪だと言ってもいいくらいだ・・・」 震えが治まり、袖で汗を拭いながら彼女に言葉を返した。 やばい雰囲気が流れまくっている状況で隼牙は何かを企んでいた。 ? 「そう? まぁいいわ。 そんなことより私は、今あなたが持っているものに興味があるのだけれど・・・」 扇子を閉じ、それで隼牙の持っている古本を指す女性。 それに反応し、持っていた本を後ろに回し、苦笑いをしながら隼牙は質問をした。 隼牙 「なんか・・・あんたに渡したらやばそうなんだが、これはいったい何だ?」 ? 「解らずに持っているの?それはあなたには必要のないものよ。 解ったらそれをこちらに遣しなさい」 女性は隼牙を睨みつける。 それに怯む隼牙は後ろに退く。 隼牙 「じゃぁもし・・・・・・嫌だと言ったら・・・?」 隼牙はジリジリと距離を離していた。 彼が後ろの棚にぶつかった頃に女性は言葉を紡ぐ。 ? 「なら・・・・・・・・・あなたを殺して奪うまでよ!」
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