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女性が手を伸ばそうとしたところに隼牙は背後の棚に置いてあった埃まみれの物を手にとった。
隼牙
「だったら、簡単には渡せねえなっ!!」
?
「!?」
そう叫び、手に取った物を投げ、直後に女性に向かって走り出す。
女性は投げられた物に気をとられ、伸ばそうとした手で受け止めた。
隼牙
「隙ありっ!」
隼牙はそのままの勢いでスライディングして、女性の半身を隠している裂け目の下を通り抜けようとした。
?
「あなた・・・やるわね。 この私を欺こうだなんて・・・さっきのは取り消すわ。 その代わり、面白いところへ連れていってあげるわ」
隼牙が女性を通り越す直後、もうひとつの裂け目が彼の目の前に現れた。
隼牙
「なっ!?」
隼牙の勢いは止まらず、そのまま裂け目の中に突っ込んだ。
隼牙
「うわあああぁぁ!!」
断末魔は裂け目の中あけに響き、蔵の中は静まりかえった。
それを見る女性はクスクスと笑っていた。
?
「今回の外来人は面白そうだわ。 いったいどんなことをしてくれるかしら?」
女性は先ほど受け止めた物を眺め、そのまま固まった。
?
「あらやだ。 『秘伝書』をすっかり忘れていたわ。 ・・・まぁ、いいわ。 またあっちで見つければいいことね」
そういった女性は裂け目の中に入り込み、裂け目は閉じられた。
その後、どこからともなく女性の声が蔵の中に響いた。
「一名様 幻想郷へごあんな~い」
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