第1章 魔法の森の人形師

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隼牙 「頼み・・・?」 俺が聞き返すとシュラは歩み寄り、俺の肩に手を乗せる。 シュラ 「今、お前は『幻想郷』という世界にいる」 隼牙 「幻想・・・郷?」 シュラの言ったことがよく理解できず、俺はその単語を聞き返した。 シュラ 「ああ。 この世界は人間だけでなく、妖精、妖怪、また神々が共に暮らす、いわば桃源郷だ」 シュラは俺の肩を叩きながら語る。 力強いから肩が痛い。 本当に夢なのか? シュラ 「そして、お前を幻想郷へ連れてきたのが、お前があの蔵の中で出会った女、もとい境界を操る妖怪の賢者・・・『八雲 紫(やくも ゆかり)』だ。 嫌な奴に出会ったもんだな」 (あの時の女性が妖怪!? 限りなく人間に近すぎてそうは思えなかった…。) 俺が頭を掻いていると、シュラが笑う。 シュラ 「なぁに。 幻想郷には他にも美人が沢山いる。 まさに男にとっても桃源郷だぜ?」 隼牙 「いちいち俺の頭ん中を覗くなッ!!」 思春期真っ盛りの頭の中を覗かれるのは相当恥ずかしい。 正直、面倒な奴と知り合ってしまったものだ。 シュラ 「しょうがねえよ。 見えるんだから」 シュラはまぁまぁと手を前後に軽く揺すり、俺をなだめる。
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