第1章 魔法の森の人形師

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隼牙 「俺が倒れてた辺りに古い本がありませんでしたか?」 アリス 「え? 古い本? えぇと・・・特に目立った物は無かったわね・・・」 俺の期待とは裏腹に出た答えだった。 隼牙 「そうですか・・・じゃぁやっぱり・・・」 (あの裂け目の中にでも手放したか・・・だな) 落ち込んでいる俺をアリスは慰める様に肩に手を置く。 アリス 「きっとすぐ見つかるわよ。 それまではゆっくりしていきなさい。 とりあえず、あなたが寝ていた部屋を貸してあげるから」 そういうとポンポンと軽く肩を叩き、彼女はキッチンを出る。 俺は彼女の言葉に勇気付けられたようで少し元気を取り戻せたような気がした。 そしてもう少し気分を落ち着かせるために軽い深呼吸をし、自分もキッチンを出る。 (頼みの件もあるし、ただでは出られそうにもないしな・・・) 俺は今後のことを考えながら、彼女の貸してくれる部屋へと向かう。 しかし階段を上ろうとする直前で後ろから肩を引かれた。 振り向けばアリスが満面の笑みで俺の肩を掴んでいた。 アリス 「戻る前に手伝ってほしいことがあるんだけど・・・後、話もあるの」 なるほど、居候する代わりに雑用しろと。 何よりも彼女の笑顔が語っていた。 ・・・話を聞くついでなので、とりあえず俺は頷く。 ・・・だが快くは頷けなかった。
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