プロローグ 幻想の彼方へ

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日は沈み、辺りはもう街灯が住宅街の道を照らしていた。 隼牙 「じゃあな! また明日な!」 隼牙は友人達と別れ、一人山へ続く道を歩いた。 その先に隼牙の住む家がある。 隼牙 (そういえば、本当に構えばっかりで技とか教えてもらってねえな。それに一重に格闘技と言っても空手とか教えてる雰囲気じゃねえしなぁ。) 段々と街灯が少なくなってくる道を隼牙は考えを巡らせながら進む。 隼牙 (よし。 いい機会だし、じじいに聞いてみるか。) そう思い立った隼牙は軽く深呼吸し、暗い山道を走り出した。 数分経って、隼牙は自宅に着いた。 そこにはテニスコート二面分もある武道場があり、それに寄り添う様に二階建の一軒家がある。 隼牙は立ち止まることなく、一軒家まで走り、戸を荒く開いた。 隼牙 「ただいまぁ!」 大きく帰宅したことを確認するが、返事が無かった。 それでも構うことなく、玄関から靴を脱ぎ捨て、急ぎ足で歩く。 そして、左側にある襖を開けた。 隼牙 「あ、いた」 開いた襖の先には居間があり、そこにはテレビの前で寝転がる老人がいた。 隼牙 「少しは返事したらどうだ? じじい」 彼はそう言葉を吐き捨て、鞄を適当に放り投げた。 それと同時に老人は気だるそうにゆっくりと胡座の状態に直した。 老人 「おぉ、おかえり。 飯はまだだとよ」 大きく欠伸をして、孫である隼牙に適当な態度をとっていた。 それを見る隼牙は疲れたようにため息をつく。 隼牙 「そういや、じじい。 俺はいつまで構えばっかり教えられなきゃならねえんだ? いい加減飽きたぜ」 隼牙はちゃぶ台の前で座り、老人を見た。 いつの間にか老人は彼を睨んでいた。
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