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いかにも高級そうな椅子に優雅に腰かけた恭介はにこにこと表情を崩さない。
質の良いスーツもぱりっと着こなしなかなか様になっているのも認める。
「どこぞのボンボンだろうとは思っていたけど、まさか神威の嫡流筋なわけ?」
大学2年生の時僅か3ヶ月だけ師事していた教授の推薦とかで、学生ながら、教壇に立っていた恭介のそのときの名字は確か、喜多島(キタジマ)だったはず。
「今の当主が俺の2番目の兄貴」
「…………わぁお」
「ひらったい声だね」
「美佳(ミカ)は知ってたの?」
福田美佳(フクダミカ)……透子の幼馴染みで、目の前の恭介と一時期付き合っていた。
その関係で透子も恭介が任期を終えて大学を去った後もプライベートで逢う仲だった……一年前に二人が別れるまでは。
「たぶんね」
「……そう」
「今日飲みに行かない?」
「何であんたに付き合わなきゃいけないのよ?」
「美佳も来るよ?」
「……美佳はここにあんたがいるって知ってたの?」
「どうかな?ここに僕が任ぜられたのは今年の2月頭のことだし」
「そうなる段取りは随分前からなされているはずよね?」
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