羽衣奪われただ人となり

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「怖いもの知らずなだけかも知れませんよ?」 買い被られても困ると訴えて置く。 「まぁそう頑なになるな。ほとぼりが冷めるまでは我が元で囲われていよ」 「そんなの性に合いません」 ずけずけと失礼なことばかりを言い続ける私に気分を害した素振りもなく氷室様はぽんぽんと私の頭に触れた。 「甘え下手は損をするぞ?」 「……甘えどころじゃないと弁えていますから」 「頑なだな。飛沫が苦労するのもわかる気がするのぅ」 ……反対していた筆頭だと思っていたけど何? もしかして今や飛沫の肩を持つほどに軟化してるわけ? 飛沫をたしなめてくれるならばまだしもこの展開って……予想外にも程がある。 「……ここから出して下さい」 声が掠れる。 「透子?」 飛沫が心配そうに私の顔を覗き込んでくる。 背中を支えるように回された腕を意識しただけで顔が熱くなる。 お願いだから優しくしないで…… ぐらつき始める視界を誤魔化すように目元に手を宛がってみるけども気休めにもならず。 ああ……弱いキャラじゃないってのに最近こんなのばっかりだ。 自分の軟弱さに内心悪態を付きながら、意識を手放した。
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