なにも しらぬ こども

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なぜ それを そのむくいを うけるのが かれでなければ いけなかったのだろう? まだ このせかいのなにかを しっているわけでもないのに まだ かれにできることなんて わらうこと と なくこと ただそれだけだったのに なにゆえ かれが その ぎせいしゃでなければ ならなかった? なにも しらぬ かれは かれの せかいの すべてを うしなったのも わからずに すぐそばに たおれている おのれの はは だったモノを せかすように はやくおきろというように じぶんのちいさな ちからも なにも ないてで ゆすっている それでも それは おきるわけが ないのに ああ、かみさま かれは まだ なにも しらぬうちに うしなうことも しらぬうちに かれの ちいさなせかいを かれは うしなってしまった かれは まだ それを ゆすりつづけていた    
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