ピース

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龍也は何気なくその視線の先を見た。 「…は…はい」 消え入りそうな声に、なぜか右手を軽くあげ返事をする彼女に龍也は、 ―― 一瞬で目を奪われた。 黒髪を腰まで伸ばし、うつむきながら顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうな彼女が儚く弱々しい。 そのガラス細工のような存在に、龍也は切なさと愛しさを感じた。 そう。完全なる一目惚れだ。
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