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言葉を交わさず、龍也と可奈は電車に乗った。
重苦しい沈黙のまま電車は走り出す。
龍也はもたれるようにポールに寄りかかり、流れる景色を見ていた視線を、うつむき居心地の悪そうに立つ可奈に向けると、目が合った。
「……あっ……わたしもう一つ先の駅で降りますから……」
……すみません。と消え入りそうな声でつぶやいた。
「ごめん…、気を使わしちゃったね……」
淳達の別れ際での態度と、ため息の事を詫びるつもりで謝った。
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